簡易耐震診断や住いの診断で屋根裏や床下を覗かせてい
ただく機会が多いのですが、夏場の屋根裏は熱がこもっ
て本当に熱く、それとは反対に床下の方は実に涼しくて
気持が良いのです。首を突っ込まないまでも、床下点検
口や床下収納の蓋をはずした状態でさえ、床上の空間は
なんとなくすがすがしくなってきます。「夏場にはスノ
コ状のもので蓋をしたら、冷気が上がってきて部屋がな
んとなく涼しくなるのでは」と、住いの診断でお伺いさ
せていただいたあるお宅でご提案させていただいたところ、早速写真のような手作りのスノコ状の蓋を後日に
はめ込んでくださいました。涼しさをため込む壺のようなものと言うことで、この簡単な仕掛けを「涼壺」と
名付けています。(今のところ、冬は閉じています。)
日の当たらない床下とほぼ同じような条件になると思い、半地下になっている私たちの事務所の配管スペースの床面の温度を一年以上測り続けています。冬の外気温が5度ぐらいの時でも、床面の温度は15度ぐらい、
また、夏の外気温が30度を越えた時でも、床面の温度は25度ぐらいです。つまり冬は温かく、夏は冷たく
感じる、井戸水と同じ原理です。このどこの家の床下にも必ずある身近な温度差を、手軽に上手に取り込めば、
過度な冷暖房に頼ることなく、コストもかからず適度な涼しさや暖かさが楽しめます。(冬期の取り込み方は、
現在研究中です。)床下利用といえば、まずは床下収納を思い浮かべますが、床下の空間利用のみならず、さら
にその温度を床上にまで取り込むことで、おいしい空間がさらに広がります。