「おいしい空間・その6/床下の熱環境」

前回、冬は温かく、夏は冷たく感じる床下の温度を利用するための工夫

をご紹介させていただきました。既存の住宅の床下点検口に手作りの

スノコ状の蓋を嵌め込んで夏場に涼を取り込む小さな試みだったので

すが、今度は新築で計画的に取り組んでみました。

既製品の床下換気口(写真)を室内外周部や内部の各所に設置しまし

た。安定している土の温度を利用する効果は想定していたものの、

竣工写真の撮影で足を踏み入れた瞬間にその威力に驚きました。

外気温が30度近い暑さの日中、部屋の中はエアコンを入れているかの

ごとく涼しかったのです。カメラマンもそのさわやかな室内の空気に

驚いていました。計測したところ、室温は22度でした。

基礎のつくりはベタ基礎にしています。熱性能的には、熱容量の大きな

コンクリート基礎の外側で断熱したいところなのですが、基礎の外側に

断熱材を取り付けた場合、土に接しているコンクリートと外側の断熱材

の間がシロアリの通り道(蟻道)になる可能性があり、その方法は採用

していません。基礎の立ち上がり部分と外周部から90センチの範囲

を、断熱材で内側から覆っています。こうすることにより、基礎の

コンクリートは外気温の影響をほとんど受けなくなり、井戸水と同じよ

うな夏涼しくて冬暖かい地中の温度と同じ温度を保つようになります。そうして出来た快適な気温の一階床下の空気を、床下換気口(写真)

から取り入れることにより、夏涼しくて冬暖かい、おいしい空間が広がります。

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