「おいしい空間・その1/一粒で二度おいしい」

 人生、おいしく食することはとても大切なことで

あり、かつ幸せなことである。

生活クラブの食材は、まずもって品質の良さにこだ

わっているから、そもそも美味しい。それをおいしく

調理して、家族や気のおけない仲間と食べれば、こと

さらにその味は美味しくなるわけである。

空間にも、おいしさがあるのをご存知だろうか。

ささやかな食事であっても、雰囲気のいい空間で食べれば、気持はぐっと豊かになる。空間の

力は意外にも大きいのである。

そんな「おいしい空間」について、シリーズ化してつづってみたいと思う。

今回は、「一粒で二度おいしい」建築の話し。

屋外空間をうまく活用して、もう一部屋をプラスアルファーで持てたよう

なお得感が得られる方法や、一つの部材や施工に二つ以上の役割をもたせ

て、一石二鳥にしてしまう方法など。後者は次回に譲るとして、

屋外活用の事例を一つご紹介したいと思う。

 例えば、狭小な敷地に住宅の設計を依頼された時

には、よく屋上緑化を提案する。

屋上緑化自体は施工費UPなのだが、同じ広さの敷地

を入手することを思えば微々たる出費(のはず)。

ディテールをしっかりすれば屋上緑化すること

で、防水層の保護にもなり、断熱効果もUP。

消費エネルギーの抑制と都市のヒートアイランド

現象の抑制にもちょっと貢献。それに、自家製無農薬野菜の収穫も可能。

夕暮れ時、ビールを片手に、佇めば、緑化された屋上が、「一粒で二度おいしい」空間に

なっていくのである。

「おいしい空間・その2/変幻自在」へ