人生、おいしく食することはとても大切なことで
あり、かつ幸せなことである。
生活クラブの食材は、まずもって品質の良さにこだ
わっているから、そもそも美味しい。それをおいしく
調理して、家族や気のおけない仲間と食べれば、こと
さらにその味は美味しくなるわけである。
空間にも、おいしさがあるのをご存知だろうか。
ささやかな食事であっても、雰囲気のいい空間で食べれば、気持はぐっと豊かになる。空間の
力は意外にも大きいのである。
そんな「おいしい空間」について、シリーズ化してつづってみたいと思う。
今回は、「一粒で二度おいしい」建築の話し。
屋外空間をうまく活用して、もう一部屋をプラスアルファーで持てたよう
なお得感が得られる方法や、一つの部材や施工に二つ以上の役割をもたせ
て、一石二鳥にしてしまう方法など。後者は次回に譲るとして、
屋外活用の事例を一つご紹介したいと思う。
例えば、狭小な敷地に住宅の設計を依頼された時
には、よく屋上緑化を提案する。
屋上緑化自体は施工費UPなのだが、同じ広さの敷地
を入手することを思えば微々たる出費(のはず)。
ディテールをしっかりすれば屋上緑化すること
で、防水層の保護にもなり、断熱効果もUP。
消費エネルギーの抑制と都市のヒートアイランド
現象の抑制にもちょっと貢献。それに、自家製無農薬野菜の収穫も可能。
夕暮れ時、ビールを片手に、佇めば、緑化された屋上が、「一粒で二度おいしい」空間に
なっていくのである。